苦節2年めにようやく点駆動スピーカーの説明が完成いたしました。
出来上がってみると別に難しい話ではなかったのですが、これに気がつくのに時間がかかりました。断片的にはいろいろ前から考えていたことが全部一つの結論に結びついたってことは、そう的外れではないでしょう。というより、ここで述べているすべては物理学から見れば周知の常識の中の話だとは思います。
点駆動スピーカー Poink-Drive Speaker
丸山徹(デイプラネット)
1 はじめに
この論文は「歪振動スピーカー」としていたのを、最新の説明内容にリメイクしたものです。
2 点駆動スピーカーの概略
振動板中央に点接続されたドライバで駆動される点駆動スピーカーは、スピーカーの理想的条件とされている点音源と同等に機能します。
ここでは先ず点音源の特徴を確認し、これで可能になるオーディオシステムを検証し(2.1, 2.2)、これの具体案(2.3, 2.4)を提示いたします。
2.1 解決すべき問題点
現実の世界にある立体的に聞こえる音をマイクで録った音はモノラルの音としてデータ化されます。なぜならボイスコイルは前後方向の単一の方向にしか運動できないので、どこから音が来たのかの情報は無視されて、平面波の音がまっすぐ振動板の中央の点へ来たと仮定して動作するからです。
この信号を増幅させてスピーカーの振動板を平行往復運動させると、振動板の面積内からは同じ位相の音が再生されますが、元の場所には振動板ほど広い範囲で同じ位相の音があった訳ではないので、この音は不自然な音となってしまいます。
従って、より良いオーディオシステムを求めるならば、最初から片チャンネルでも立体感のある音を出せるスピーカーを模索する必要があります。
2.2 問題の解決策
ここで点音源の性質を詳しく見てみます。
例えば左右の耳の位置が図の様に点音源の真正面からからずれている位置にいる時に点音源から球面波が拡散する場合、最初にt1の方向へw1の波が右耳へ到達します。
この時右耳の全面にほぼ瞬時に波は伝わります。
続いてt2の方向へw1の波はw2として左耳の右端へ到達し、続いてt3の方向にw2の波がw3として左耳の 左端へ到達します。
すなわちこのような特別な配置に限らず、点音源の大きさが大きさの無い点だとしたら、どの様な位置で聞いたとしても、音源に近い方の耳へくる音より、遠い方の耳にくる音の方が、音の滞在する時間が長くなり、右と左の耳では同じ音が単なる位相のズレなどではなく複雑にズレて聞こえます。このような音の性質を球面波効果とします。
この位相のズレをマイクでは反応できませんが人の耳は外耳の音の反射を利用して片耳でも方向を聞き分けられるようですから、球面波効果を聞き分けられるのは十分可能でしょうし、このような機能が耳にあるからこそ私たちは音を立体に感じられているのでしょう。
このように、点音源で再生すれば、元の音と全く同じではないものの、たとえ片チャンネルでも立体感のある音を再生する事が出来、マイクが点で録った音を点で再生する点音源オーディオシステムを構築できます。
この点音源の大きさは、何らかの形態で点ではないとしても、焦点は点である必要があり、従来の平行往復運動する振動板の場合、音源の大きさ、焦点の大きさ共に振動板の大きさなので、球面波効果は望めません。
2.3 タワミ振動は点音源振動
靴音、机を叩いたときの音、ピアノの音、コントラバスの音、などの音が出るのは、床、机、ピアノの響板、コントラバスの本体、などの物体になんらかの力が加わり発生したタワミ振動が空気中に伝わるからです。
この様なタワミ振動とは点音源の中心の位置が振動しているのと同じ事だと理解できます。
図のモデルにおいて振動板は1と2の位置で固定されている時になんらかの力が加わり振動板が伸びて振動板Aまでタワむとします。この時に振動板は1と2で固定されているので、振動板Aは中心Aの円弧(球の一部の事もあります)となります。
続いて振動板は伸び続けて振動板Bまでタワむとします。この時振動板Bは中心Bとする円弧となります。すなわち振動板がタワむ振動は中心の位置が振動する円弧の事となります。
この様に例えば振動板が1と2で固定されていない場合でも、なんらかの関係で円が正円にならなかったとしても、たとえどんな複雑なタワミ振動だとしても、タワミ振動とは中心の位置が振動する円弧の組み合わせとみなす事ができます。
円弧とはすなわち点音源の音源、中心とは焦点の事なので、タワミ振動は焦点が振動する点音源、タワミ振動は点音源振動と理解でき、球面波効果も期待できます。
振動板の後ろ方向へも音は出るので、正確に言えば前へ出る正相の半球面波と、後ろへ出る逆相の半球面波となります。
すなわち、理想的なスピーカーとはタワミ振動を利用するスピーカーの事で、今までに各メーカーによる特許、アイデアが大変多く存在しています。
(中略)
タワミ振動スピーカー(特開2004-241801)
寺垣スピーカー(http://www.teragaki-takeshi.jp/)
横波スピーカー(特開2007-19623)
骨伝導スピーカー(特開2003-340370)
超磁歪素子スピーカー(特開2007-104603)
平板スピーカー(特開2010-283565)
2.4 点駆動スピーカー(特許取得済み)
平板振動板は本体に固定接続されていて、先端が円錐状に形成された可動部分の先は平板振動板に点で接続されているので振動板にはタワミ振動が容易に発生し易く構成されていて、低音を安定させるために振動板の大きさを大きくしても、理想的な点音源と同等に、焦点の大きさは点の大きさの球面波の音を発声するのが点駆動スピーカーです。
又、前から出る音と後ろから出る逆位相の音とが打ち消しあわないので背面開放型となっています。
3 その他のTIPS
タワミ振動とはすなわち固有振動の事で、従来のタワミ振動を利用するスピーカーはどうしても求める周波数特性を得る事が出来ませんでしたが、点駆動スピーカーは適切な振動板の材質、構造を選択する事で、不要な固有振動をコントロールしてクリアな中音、低音を得られました。


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出来上がってみると別に難しい話ではなかったのですが、これに気がつくのに時間がかかりました。断片的にはいろいろ前から考えていたことが全部一つの結論に結びついたってことは、そう的外れではないでしょう。というより、ここで述べているすべては物理学から見れば周知の常識の中の話だとは思います。
点駆動スピーカー Poink-Drive Speaker
丸山徹(デイプラネット)
1 はじめに
この論文は「歪振動スピーカー」としていたのを、最新の説明内容にリメイクしたものです。
2 点駆動スピーカーの概略
振動板中央に点接続されたドライバで駆動される点駆動スピーカーは、スピーカーの理想的条件とされている点音源と同等に機能します。
ここでは先ず点音源の特徴を確認し、これで可能になるオーディオシステムを検証し(2.1, 2.2)、これの具体案(2.3, 2.4)を提示いたします。
2.1 解決すべき問題点
現実の世界にある立体的に聞こえる音をマイクで録った音はモノラルの音としてデータ化されます。なぜならボイスコイルは前後方向の単一の方向にしか運動できないので、どこから音が来たのかの情報は無視されて、平面波の音がまっすぐ振動板の中央の点へ来たと仮定して動作するからです。
この信号を増幅させてスピーカーの振動板を平行往復運動させると、振動板の面積内からは同じ位相の音が再生されますが、元の場所には振動板ほど広い範囲で同じ位相の音があった訳ではないので、この音は不自然な音となってしまいます。
従って、より良いオーディオシステムを求めるならば、最初から片チャンネルでも立体感のある音を出せるスピーカーを模索する必要があります。

2.2 問題の解決策
ここで点音源の性質を詳しく見てみます。
例えば左右の耳の位置が図の様に点音源の真正面からからずれている位置にいる時に点音源から球面波が拡散する場合、最初にt1の方向へw1の波が右耳へ到達します。
この時右耳の全面にほぼ瞬時に波は伝わります。
続いてt2の方向へw1の波はw2として左耳の右端へ到達し、続いてt3の方向にw2の波がw3として左耳の 左端へ到達します。
すなわちこのような特別な配置に限らず、点音源の大きさが大きさの無い点だとしたら、どの様な位置で聞いたとしても、音源に近い方の耳へくる音より、遠い方の耳にくる音の方が、音の滞在する時間が長くなり、右と左の耳では同じ音が単なる位相のズレなどではなく複雑にズレて聞こえます。このような音の性質を球面波効果とします。
この位相のズレをマイクでは反応できませんが人の耳は外耳の音の反射を利用して片耳でも方向を聞き分けられるようですから、球面波効果を聞き分けられるのは十分可能でしょうし、このような機能が耳にあるからこそ私たちは音を立体に感じられているのでしょう。
このように、点音源で再生すれば、元の音と全く同じではないものの、たとえ片チャンネルでも立体感のある音を再生する事が出来、マイクが点で録った音を点で再生する点音源オーディオシステムを構築できます。
この点音源の大きさは、何らかの形態で点ではないとしても、焦点は点である必要があり、従来の平行往復運動する振動板の場合、音源の大きさ、焦点の大きさ共に振動板の大きさなので、球面波効果は望めません。
2.3 タワミ振動は点音源振動

靴音、机を叩いたときの音、ピアノの音、コントラバスの音、などの音が出るのは、床、机、ピアノの響板、コントラバスの本体、などの物体になんらかの力が加わり発生したタワミ振動が空気中に伝わるからです。
この様なタワミ振動とは点音源の中心の位置が振動しているのと同じ事だと理解できます。
図のモデルにおいて振動板は1と2の位置で固定されている時になんらかの力が加わり振動板が伸びて振動板Aまでタワむとします。この時に振動板は1と2で固定されているので、振動板Aは中心Aの円弧(球の一部の事もあります)となります。
続いて振動板は伸び続けて振動板Bまでタワむとします。この時振動板Bは中心Bとする円弧となります。すなわち振動板がタワむ振動は中心の位置が振動する円弧の事となります。
この様に例えば振動板が1と2で固定されていない場合でも、なんらかの関係で円が正円にならなかったとしても、たとえどんな複雑なタワミ振動だとしても、タワミ振動とは中心の位置が振動する円弧の組み合わせとみなす事ができます。
円弧とはすなわち点音源の音源、中心とは焦点の事なので、タワミ振動は焦点が振動する点音源、タワミ振動は点音源振動と理解でき、球面波効果も期待できます。
振動板の後ろ方向へも音は出るので、正確に言えば前へ出る正相の半球面波と、後ろへ出る逆相の半球面波となります。
すなわち、理想的なスピーカーとはタワミ振動を利用するスピーカーの事で、今までに各メーカーによる特許、アイデアが大変多く存在しています。
(中略)
タワミ振動スピーカー(特開2004-241801)
寺垣スピーカー(http://www.teragaki-takeshi.jp/)
横波スピーカー(特開2007-19623)
骨伝導スピーカー(特開2003-340370)
超磁歪素子スピーカー(特開2007-104603)
平板スピーカー(特開2010-283565)

2.4 点駆動スピーカー(特許取得済み)
平板振動板は本体に固定接続されていて、先端が円錐状に形成された可動部分の先は平板振動板に点で接続されているので振動板にはタワミ振動が容易に発生し易く構成されていて、低音を安定させるために振動板の大きさを大きくしても、理想的な点音源と同等に、焦点の大きさは点の大きさの球面波の音を発声するのが点駆動スピーカーです。
又、前から出る音と後ろから出る逆位相の音とが打ち消しあわないので背面開放型となっています。
3 その他のTIPS
タワミ振動とはすなわち固有振動の事で、従来のタワミ振動を利用するスピーカーはどうしても求める周波数特性を得る事が出来ませんでしたが、点駆動スピーカーは適切な振動板の材質、構造を選択する事で、不要な固有振動をコントロールしてクリアな中音、低音を得られました。


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2016/09/18 (日) [未分類]
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